溺愛CEOといきなり新婚生活!?
十八時を過ぎ、業務を滞りなく終えて席を立った。
各階にあるパウダールームでメイクを直し、ハーフアップにしていた髪を直す。
今日は買ってもらったワンピースを着てきてよかった。
永井さんが連れて行ってくれるレストランは、七瀬さんのお店が一番カジュアルだけど、調べてみたら高級フレンチとして紹介されていた。
きっと今夜も私にとっては贅沢なディナーになるんだろうし、そういう場でも浮かずに済む服装だ。
「お足もとにお気を付け下さい」
社を後にして裏手の道を少し進んだところに、誰もが振り向きそうなほど重厚ないつものセダンが停まっていて、九条さんが白い手袋をしたまま私をエスコートする。
「大丈夫です。自分で乗りますよ」
「いいえ、そういうわけには」
「……永井さんですか?」
答えの予想がついている問いかけには、その通りと言わんばかりの笑顔を返されてしまった。