溺愛CEOといきなり新婚生活!?

「あー、やっと会えた」

 永井さんは二人きりになると表情を緩めた。


「今朝も一緒にいましたよ?」
「でも、その後はお互い仕事で別々だった」

 ゆっくりとハイバックの椅子から立ち上がると、デスクの反対側に立っている私の元へやってきた。


「会いたかったんだ。すごく」

 分かってと言うと、彼は私を抱きしめる。
 会社にいるのに躊躇なく腕の中に包まれて驚いたけれど、すぐに幸せな気持ちになった。


「今日、連絡くれて嬉しかったです」
「買った服を着てるのを今朝見た時、絶対にデートするって決めてたから」
「そうなんですか?」
「うん」

 顔は見えなくても、彼がとても優しい表情をしているのは想像がつく。
 本当に機嫌が悪そうにしていたのは、サンプリングマリッジを始めた当日くらいだったような……。


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