溺愛CEOといきなり新婚生活!?

 つくづく癇に障る人だ。
 私の気持ちを汲もうとしないのだろうか。それとも、男と女で初対面だからこんなに合わないの?
 ……うぅん、そんなはずない。初対面だからこそ丁寧に接するはずだもの。


「永井さんも、次は料理ができて物わかりのいい方とお付き合いされたらいかがですか?」

 一度言い返したら、次からは少し楽に言いたいことが言えるようになった。
 私が甘いと言うけれど、永井さんだって適当すぎるじゃない。
 相手がどうして言い寄ってきたか分かっていて関係を結んでいたなら、別れが面倒になるのも自業自得。


「そうさせていただくよ。少なくとも俺の地位や金に目が眩んで寄ってきた女を相手するのは、これが最後にするつもり。それで、これはもう運んでいいの?」
「お願いします」

 永井ホールディングスの大社長に、出来上がったパスタが乗った皿を運んでもらい、しかも嫌味を言う女との生活は、きっと彼だって嫌だろう。
 もしかしたら、私より彼の方が先にこの生活をやめるかもしれないと思った。


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