溺愛CEOといきなり新婚生活!?
本気に火を点けて
翌朝、午前七時。
日曜だからゆっくり起きるつもりでいたけれど、住み慣れていない部屋で、しかも永井さんと一緒に暮らしているという現実についていけないのか、平日と大して変わらない時間に目が覚めてしまった。
着替えて、洗面室で軽くメイクをしてからリビングに出ると、どこまでも広がる朝の都心の街並みと、遠くに見える湾が輝いている。
「朝も夜も、景色は最高なんだけどね……」
ここが私と雅哉さんの新しい部屋だったなら、どんなに幸せだろう。
仕事で疲れてぐっすり眠っている彼のために朝食を作って、なかなか起きてこない彼を起こしに寝室に戻って……。
近い未来、きっとそんな生活をするのだ。この生活を有意義にするには、今できることをしよう。
まずは、朝食の準備を練習すること。雅哉さんがもっと喜んでくれるものを作れるように練習するには、食べてくれる人がいたほうがいい。それに、永井さんなら正直な意見を言ってくれそうな気がする。
「何にしようかな……適当でいいか」
永井さんの好みは全くわからない。
昨日、一緒に昼食を食べたけれど、その後彼は仕事があると言って出かけてしまったのだ。
冷蔵庫を開けて食材を取り出し、私はキッチンに立った。