溺愛CEOといきなり新婚生活!?
「ごちそうさま」
あっという間に残さずに食べてくれた彼は席を立つことなく、私が食べ進めているのをずっと眺めている。
「本当、かわいい」
彼に顔を向けると、優しい微笑みを浮かべたまっすぐな視線が返された。
「上遠野さんってかわいい人だなぁって、昨日から思ってたんだけどね」
朝から何を言うかと思ったら、今度は心にもないことを。朝食のお礼のリップサービスならいらないのに。
「……今日、彼女さんと別れられるといいですね」
「上遠野さんは、こっち側に付いてくれるんだ」
「彼女さんのことを知らないので、そう言っただけです」
淡々と食事を進め、ジャスミンティーを飲んだ。
食べ終えて、お皿をシンクに下げようとすると、ふたり分の食器を重ねて、永井さんが進んでお皿を洗い始める。
「すみません、社長さんにこんなことを」
「これくらいするよ。おいしい朝食を作ってくれたお礼」
恐縮しながらも、隣で洗い終わったお皿を拭く。
だとしたら、さっきのは何だったんだろう……。からかわれただけ?