溺愛CEOといきなり新婚生活!?
「海都さんっ!」
ヒールを履いた足で駆け寄る女性の姿に、運転席のドアを開けようとしていた手を止めた。
「九条さんもお疲れさまです」
私の姿を見つけ、目の前に立ってきちんとお辞儀をしたこの女性こそ、社長が選んだ大切な方だ。
「いまお帰りですか?」
「はい」
いつでも微笑みを絶やさず、純粋な瞳で社長と私を見つめてくる彼女は、たった三か月で難攻不落と言われていた彼を落としたのだ。
おそらく、ご本人にそのつもりはないでしょうけれど。
「九条、お疲れ様。また明日頼みます」
「お疲れさまでした。ゆっくりお休みになられてください」
もう一度頭を下げて彼らを見送っていると、自分の革靴と舗装された路面が映っていた視界に女性の脚が入ってきた。