溺愛CEOといきなり新婚生活!?
「甘いと思うよ。いくら惚れてる男の願いとはいえ、言うことを聞きすぎるって思う。……でも、それもちょっと羨ましかった。相手のために尽くしてる上遠野さんを俺のものにしたいと思った」
突然の告白に面食らって唖然としていると、永井さんは私から食器拭きを奪って傍らに置き、自らの手の上に私の手を乗せて微笑んだ。
「今日、本当に別れてくる。それからなら、正々堂々あなたを奪ってもいいですか?」
雅哉さんよりも高い身長から、円い声色で告げられた想いが私の心を揺らす。
こんなにもまっすぐに求められたことは、今までなかった。
何の理由もつけずにただ私を奪いたいと言われたら、無条件に鼓動が早鐘のように鳴りだした。
「私……お付き合いしていて、未来を決めた彼がいるんですよ?」
「その彼から、あなたを奪うと決めたんです。あなたを幸せにするのは、彼じゃない」
突然手を引かれ、永井さんの胸元に飛び込んだ私を、彼はしっかりと抱きしめてくる。
「俺が、あなたを必ず幸せにします」
真剣なまなざしは、決して冗談なんかじゃないと思う。
必ず幸せにすると約束してきた彼をよく知らないのに、大きく鳴った鼓動のせいで雅哉さんへの背徳感に襲われた。