溺愛CEOといきなり新婚生活!?

 それから、永井さんは何事もなかったように出かけて行った。……本当に、彼女と別れるために。
 ひとり留守番をする私は、雅哉さんという未来の伴侶がいるにもかかわらず、永井さんの気まぐれな告白で熱を帯びた自分の頬を小さく叩き、喝を入れた。


 特に予定がなくて、のんびりとした日曜日。
 雅哉さんにおはようのメッセージを送ったけれど、既読はつかない。
 彼はいつでも多忙だから、こんなことはこの二年で何度もあったし慣れっこだ。彼も、私が返事を待っていることくらい分かっているようだし、返事をしたくてもできない状況にいるのだろう。

 日曜日の、この真昼間に、誰とどこにいるのか……。
 本当に仕事なの?って聞いたこともあったけど、ふたを開けてみれば接待ゴルフをしていた。
 つまり、私が好きすぎるあまり妬いてしまって、疑っただけ。

 いい年をした大人の女なんだからって言われたけれど、恋愛においては年齢なんて関係ないと思う。
 惚れてしまったら最後、どんな時でも自分だけを見ていてほしいし、想っていてほしいって……仕事にさえ妬いてしまうこともある。

 雅哉さんは……現実的な考え方をする人だから、私みたいに感情を乱されるようなことはなさそうだけど、それはそれで少し寂しいな。


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