溺愛CEOといきなり新婚生活!?

「花澄さんのお好きなものを教えていただけますか? 昨夜のお礼をお渡ししたいのですが」
「いいよ、気を使わなくて。お返しに悩む彼女の姿がもう目に浮かぶ」

 だけど、彼女の話になると途端に目元に優しさが宿る。
 凛々しかった横顔も目尻が緩み、口角が上がって笑みがこぼれてしまうらしい。


「私の気持ちですから、ぜひお願いします」
「……そうだなぁ。あ、七瀬の店のケーキは好物だって言ってたな。御門のプロジェクトで七瀬の店を出店させるのに何度か打ち合わせてきたけど、きっと御門の副社長も気に入るはずだし」
「七瀬さんのお店のですか。花澄さんは面会されたことがあるんですか?」
「あるよ、何度かね」

 もし私が社長の立場だったら、きっと前の彼女には会わせないと思う。
 余計な心配をさせたくないし、連絡を取っているだけでも嫌がられたことがあるからだ。


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