溺愛CEOといきなり新婚生活!?
「仕事のつながりがあるからね。今後も打ち合わせることはあるし、会わないっていう選択肢はない。疾しくないなら、尚更早めに面会させて不安を取り除くしかないと思ったんだけどな……」
そう思っていたのは社長だけで、花澄さんは妬いてしまわれていたんですよね。
知っております。昨夜聞いてしまいましたので……。
社長の優しさに触れて、言葉で伝えてもらえて、さぞかしホッとされたことでしょう。
自分の過去も未来も、全て隠すことなく堂々と。
そんな背中を見せてくださるからこそ、私も社長についていきたいと……。
「社長のお心は、花澄さんに伝わっていると思いますよ」
「そうだといいけど」
大丈夫です。
あなたほど、花澄さんを溺愛する方はいないと思います。
与える愛と与えられる愛の歯車が永遠に回り続けますよう、私もここから見届けさせていただきます。
「それはそうと、九条の好きなあの人が今度来社する予定だから、そのつもりで」
「えっ!? 社長っ、それはどういう」
私の声など耳に入れず、タイミングよくかかってきた花澄さんからの電話に応答しながら、彼は社長室に入ってしまった。
― fin ―