溺愛CEOといきなり新婚生活!?
「九条さんもお久しぶりです。お元気そうでよかった」
「瀬戸さんも、お変わりないようで……」
いつ帰国したのだろう。
人事の情報は更新されるたびにチェックしていたはずなのに。
それに、社長は知ってたって……どういうことだ?
瀬戸梓(せとあずさ)さんは、我が社の社員。
二年前に香港に転勤が決まってからというもの、久しぶりに顔を合わせた。
社内でも人気の高い女性で、俺も密かに思いを寄せていた。
もっとも、海外赴任が決まってしまい、諦めた男性社員も多くいるようだが、俺はそんなことで諦められるわけもなく――。
「どうされたんですか? まだ帰国される時期ではなかったはずですが」
「ええ、帰国はまだ少し先です。休暇を取ったので一時帰国して今朝着いたんです。……驚いてもらえました?」
「驚きましたよ」
小さな女の子が笑うように、無邪気に楽しそうにしている彼女がたまらなく好きだ。
俺を驚かすために帰国を知らせなかったのだろう。まったく、そういうところが俺の胸をわしづかみにしていると言うのに。