溺愛CEOといきなり新婚生活!?

「他の方にはお会いになりましたか?」
「ええ、タイミングよく飯島さんが外出先から戻ってきたから、話せました」
「それはよかった」

 つい先日、社長に早く帰っていいと言われた日、瀬戸さんの元同僚に誘われて食事をしたけれど……彼女たちも何も言ってなかったはずだ。


 社長が携帯で誰かと話している間、瀬戸さんと立ち話をする。
 彼は事情を知っているからか、目が合うと小さく何度か頷いたのち、気を使って先に上階へ向かっていった。



「実は、社長にたまには帰ってきたどうかって言われたんです」
「社長が!?」

 ――あぁ、そういえば。近々来社するとかなんとか仰っていたな……。こういうことか。


「九条さんが私に会いたそうにしてるから、帰ってこないかって言われて。そんなこと言われたら……ね?」

 今度は少し恥ずかしそうにする彼女の表情に、俺の方が照れてしまう。
 スーツに隠した胸の奥は、再会してからというもの鼓動が大音量で鳴っている。


< 331 / 378 >

この作品をシェア

pagetop