溺愛CEOといきなり新婚生活!?

「それでは、お言葉に甘えさせていただきます」
「九条、これも使いなさい」

 挨拶をしてから出ようとすると、社長が社用車の運転手に連絡するための携帯電話を渡してきた。


「あの、これは……」
「クライスラーの方を待たせてあるから、使うといい。九条の実家の所有を使うとなると、お父様に話が漏れるだろうからな」
「ありがとうございます」

 客人をもてなすために使用する、社が保有しているクライスラーのリムジン。
 私情で使うとしても、社長が花澄さんしか乗せたことのない特別な許可のいるものだ。


 社長室を出て、エレベーター横に映りこんだ自分を眺める。
 濃紺のスーツに着替えたのは、彼女の服装と合わせるため。急遽買った花束を手に、やってきたエレベーターで地上階まで降りた。


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