溺愛CEOといきなり新婚生活!?

 再会した時と同じように、彼女はエントランスロビーにいくつか設けられたソファに、姿勢よく腰かけている。

 その背中を抱きしめたい衝動に駆られながらもそっと近づいた。



「瀬戸さん」
「あっ、お疲れさまです。早かったですね」
「社長が気を利かせてくださったので」
「永井社長らしいですね」
「先に、こちらを。……あと数日で誕生日でしょう?」

 後ろ手で隠していた花束を差し出すと、彼女はまた明るい微笑みを浮かべてくれる。


「覚えていてくれたの!?」
「当然」

 わざと意地悪に微笑んでみせると、彼女の頬は赤みを差した。


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