溺愛CEOといきなり新婚生活!?
あの日、想いを受け止めてもらえてよかった。
そうじゃなければ、今頃は日々の業務に勤しんで、恋愛なんてしていなかっただろう。
隣に座る彼女の手を取って包み込んだら、嬉しそうに微笑んでくれた。
彼女の笑顔を見るだけで、初めて手を繋いだ香港の夜、告げた想いがよみがえってくる。
――“不安なことがあったら、いつでも連絡してください”
――“寂しいって思わないように、俺が頑張るから”
「会いたいって言ったら、きっと困らせてましたよね……」
彼女も同じように思い返していたようだ。
ふとそんなことを素直に言う、彼女の控えめな一面が愛しい。
「そうだね、仕事もあるし」
「ですよね……」
「でも、言われたら仕事の後に会いに行ってただろうね」
俺だって、会いたかったんだ。
彼女を想わなかった日はないほどに。