溺愛CEOといきなり新婚生活!?

「……帰ってくるなら、ちゃんと言わないと」
「喜んでくれるかなって思って」
「うん、嬉しかったよ」

 もう一度、頬に唇を寄せ、彼女を抱きしめる。


 会いに行きたかったけれど、仕事が立て込んで叶わなかった。

 想いを通じ合わせてからの約一年、社長に交際の事実をお伝えするか悩んだこともある。

 でも、きっと彼は気を使うだろう。
 今日だって、こうして時間を最大限設けてくれて――。

 もし交際していると言ったら、休みを取って会いに行くよう仕向けられていたはずだ。
 この事実を知らないのに、彼女を一時帰国させるほど、人の心を見通してしまう人だから……。



 予約したのは、俺の行きつけの隠れ家レストラン。
 品川の街を走り抜け、森の中にひっそりと息をひそめるようにある一流ホテル。
 この店には、社長に紹介した以外、他の誰も連れてきたことはない。


< 340 / 378 >

この作品をシェア

pagetop