溺愛CEOといきなり新婚生活!?
「……帰ってくるなら、ちゃんと言わないと」
「喜んでくれるかなって思って」
「うん、嬉しかったよ」
もう一度、頬に唇を寄せ、彼女を抱きしめる。
会いに行きたかったけれど、仕事が立て込んで叶わなかった。
想いを通じ合わせてからの約一年、社長に交際の事実をお伝えするか悩んだこともある。
でも、きっと彼は気を使うだろう。
今日だって、こうして時間を最大限設けてくれて――。
もし交際していると言ったら、休みを取って会いに行くよう仕向けられていたはずだ。
この事実を知らないのに、彼女を一時帰国させるほど、人の心を見通してしまう人だから……。
予約したのは、俺の行きつけの隠れ家レストラン。
品川の街を走り抜け、森の中にひっそりと息をひそめるようにある一流ホテル。
この店には、社長に紹介した以外、他の誰も連れてきたことはない。