溺愛CEOといきなり新婚生活!?

「土地かぁ……。大変だよね、再開発とかで」
「そうなんだよ。今は父親が代表をやってるけど、いずれは俺が継ぐことになってる」
「会社は辞めちゃうの?」
「いずれは」

 途端に表情を曇らせた彼女は、しゅんとした顔で俺を見つめてくる。


「転勤が終わって本社に戻った時、晴馬さんがいないのは寂しいな……」
「いないって、社にいないだけでプライベートでは会えるんだから」

 予定では、彼女が帰国するのは半年後。
 その頃はまだ職を変えていないだろうけど、十年もしないうちに父親は俺に継がせると思う。



「働いてる晴馬さん、すごく素敵だから……。実はね、密かにいいなってずっと思ってたんだよ」
「えっ!?」

 俺の片想いが長引いているとばかり思っていたのに……。


「だったら、もっと早く告白すればよかったな。今頃、一緒に香港に行ってあげられてたかもしれない」
「それは無理よ。だって、晴馬さんも仕事が……」
「香港、ロンドン、パリ、マルセイユ、ヴェネチア、マドリード。あとはシドニー、ハワイ。それからニューヨークにフロリダ、サンフランシスコ。近場ならソウルと北京。俺はどこにでも行けるよ」

 世界各国の都市名を上げた意味に気づいた彼女は、心底驚いた様子で俺を見ている。


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