溺愛CEOといきなり新婚生活!?

「……じゃあ、いつか私がまた日本以外のどこかに転勤しても、一緒にいてくれる?」
「どこへでもお供しますよ」

 ホッとした様子で、残っていたワインを開けた彼女は、保っていた姿勢を突然崩して背もたれによりかかった。


「大丈夫か?」
「うん……ちゃんと歩いて帰れます」

 元からそんなに強くないのは知っていたけど、美味しいから飲みたいと言われて止めなかった。
 キープしていたワインのうち三本を開けてしまってから、飲みすぎたかもしれないと気付くほど、俺も楽しかったんだ。

 とはいっても、二本は俺が飲んだ。いつもなら、もう一本くらい開けているかもしれない。父親も社長も酒は好きだし、俺以上に強いから。



 テーブルにスタッフを呼んで、会計してほしいと告げる。

「ご馳走様でした」
「私もいくらか出させて」
「いいよ、梓はいてくれるだけで」

 艶黒のカードを渡し、手続きを終えて席を立つ。


< 348 / 378 >

この作品をシェア

pagetop