溺愛CEOといきなり新婚生活!?
「晴馬さんが、初めてデートに誘ってくれた時、誰にも言えなかった。絶対に妬まれるって思ったし、上手くいったら嫌がらせされるかもしれないと思ったから」
「それは俺も同じ。梓は社内人気が高いから、俺が誘ったって知られたら仕事しにくくなりそうで」
何なら、社長にも言ってないし、俺の片想いだって思われたまま。
例えば、結婚するとなったら報告差し上げることにしよう。
それまでは私情を挟むことなく社長を支えるのが、俺なりの恩返しでもある。
再び階段を上がり、彼女が一段先を行く。
話しかけると時々振り返ろうとするから、変わらずに後ろから手を添えた。
ここで食事ができたのは、父親がいてくれたおかげ。
恵まれた環境に身を置かせてもらっているから、今の俺がいる。
いつか、ちゃんと自分の力で彼女を幸せにしてあげたい――。
それができるだけ早く実現するよう、日々努力あるのみだ。