溺愛CEOといきなり新婚生活!?
取った部屋に入り、繋いでいた手はそのままに抱きしめる。
二十九歳の彼女は見た目はかわいらしいけど、考え方はきちんとしていて、少しも擦れていない。
まっすぐ過ぎる瞳が透き通るように綺麗で、見つめられたら我慢できなくなるんだ。
――好きだって言いたくなる衝動を、何度も何度も抑えていたから。
「……落ち着く。梓がいてくれて、やっと安心できた」
「私も……晴馬さんと会えて幸せ」
なんてことを言うんだ、このタイミングで。
会えただけで幸せだなんて、言われたこともない。
「晴馬さん」
「なに?」
「今度から、声が聞きたくなったら我慢しなくてもいい?」
「いいよ。いつでも連絡して」
彼女の髪を撫でてから、少し抱き上げて頬にキスをした。
軽々と持ち上がった彼女は、笑って楽しそうにしている。
――かわいい。もうどこにも行かせたくない。