溺愛CEOといきなり新婚生活!?
【特別番外編】俺のワガママを聞いて
彼女に永遠の愛を誓って、あと少しで一ヶ月が経つ。
新居にも少しずつ慣れてきて、花澄もタワーマンションよりは気楽そうだ。
元から住んでいた部屋もサンプリングマリッジの部屋も、どれも自分の所有。だけど、いくつも自宅を抱えていても無駄だから、分譲賃貸にでも出そうかと考えている。
サンプリングマリッジをしたあの部屋だけは、俺と花澄の思い出が詰まっているから、誰にも貸すつもりはないけれど。
「本日の来客は以上となります」
「ありがとう。九条も今日は早めに帰って構わないよ」
「……社長をお送りしなくてはなりませんが、何時くらいにお出になられますか?」
「今日はいいよ。いつでも上がっていいから、たまにはゆっくりして」
花澄に言われてから、九条の自由時間をなるべく設けるようにしているつもり。
不要な残業はなかったけれど、確かに遅くなる日が少なくはなかった気がするからだ。
彼女に言われて気づくなんて、CEO失格?
そんなことを言っているのは、どなたですか?
――愛する彼女の言うことも、俺の言うことも全部叶えるのが、俺のやり方なのであしからず。