溺愛CEOといきなり新婚生活!?
【お疲れさま。今日も忙しくしてる? 俺はあと少しでひと段落つくところ】
花澄にメッセージを送り、デスクに携帯を置いて椅子を反転させた。
このビルから目を凝らせば、なんとなく花澄が働いているATSの自社ビルが見える。
手を伸ばして届くなら、今すぐにでも抱き寄せたいと思うのはいつものこと。
仕事の合間にホッとひと息つくと、どうしたって彼女を想ってしまう。
デスクの上で携帯が震え、勢いよく椅子を戻して手に取った。
【お疲れさまです。私は午後取引先にいたので、今から直帰です。今日は何が食べたいですか?】
取引先にいたのか……あの服装で? あのメイクで?
いつだってかわいくて綺麗だけど、今日は珍しくスリットが入ったタイトスカートを穿いていた。
この前デートの途中で買った、新色のリップグロスも塗っていたはず。
……ああ、我慢できない。
他のことならなんとでもできるのに、花澄のことになると抑えが効かなくなる。
【それなら、今からうちの社においで。一緒に帰ろう】
返信して数秒後、隣接する秘書室から九条が顔を見せ、先に帰ると言って出て行った。