溺愛CEOといきなり新婚生活!?

「本当にダメ?」
「ダメ、です……」
「やめていいの?」

 何も言わないのは、困ってる証拠。
 俺がまっすぐ見下ろす視界に、戸惑う彼女が真っ赤な顔で言葉を探している。


「だって」
「なに?」
「ここで……するの?」

 俺の脳内で理性の糸が切れた音がする。

 ずっと保ってたのに。
 さすがに“それ”だけはって、分別のある大人でいられたのに。


「花澄は、したいと思ってるの?」
「えっ……わ、私?」

 まさかそんなことを聞かれるとは思っていなかったのか、彼女の困り顔が輪をかけて弱っていくのが分かった。


 その様子を間近から視線だけで見下ろす。
 俺に両手の自由を奪われても抵抗しないくせに。


「したいんでしょ?」

 人差し指の先でそっと彼女の唇をなぞった。


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