溺愛CEOといきなり新婚生活!?

 十九時前、キッチンで夕食と明日のお弁当のおかずを一緒に作っていると、リビングのドアが開いた。

「ただいま」
「おかえりなさい」
「お、またいい匂いがする」
「お腹空いてますか?」

 うん、と微笑んで返事をした永井さんに、今のところときめいたりはしていない。朝の告白だって気まぐれだと思う。


「今日は何?」
「和食です。肉じゃがとお味噌汁と、浅漬けと……あ、お魚の方がいいですか?」
「どうして?」

 疑問を持たれると思わなくて、私は首を傾げてしまった。


「上遠野さんが、俺に食べさせたいものを作ってくれたら、俺はそれがいいと思ってる」
「……また、そういうっ!?」

 菜箸で浅漬けを小鉢に盛っていた手を掴まれ、挟んでいたきゅうりごと彼の口元に導かれていく。


「あーん」
「しませんっ!!」

 抵抗むなしく、永井さんはきゅうりの端を咥えている。
 そして、ポリポリと小気味いい音を立てながら食べてしまった。


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