溺愛CEOといきなり新婚生活!?
不意を突かれたせいもあるけれど、永井さんの手が触れた時に大きく鼓動が鳴ってしまった。
そのおかげで、抑えられなかった頬の熱が赤みに変わっていく。
再び半開きになった彼の唇と、整った顔立ちに視線が奪われた。
「おかわり」
「どうぞ」
「そうじゃなくて」
菜箸を渡そうとした私の手が捉えられ、強制的に浅漬けを盛った小鉢へ。
同じように棒状に切りそろえた大根を指定され、彼は私の手を握ったまま、それを口へ運んだ。
食べる瞬間に見えた、赤くて濡れた舌にぞくりとする。
咀嚼する彼の唇の動きや、飲み込んで上下した喉に、視線が泳いでしまった。
「美味しい」
赤くて丸い舌先をのぞかせて、塩気の残る唇を少しだけ舐めた永井さんが微笑む。
昨日知り合ってから数時間しか経っていないのに、雅哉さんよりも魅惑的な表情を見せられて、私の鼓動は忙しくなる。
「俺も、美味しそうでしょ?」
掴まれたままの手をさらに引いて、彼は私を抱きしめた。