溺愛CEOといきなり新婚生活!?

「やめて……くださいっ」
「どうして?」

 今日の永井さんは、なんだか変だ。
 こんなことをされるためにサンプリングマリッジをしているんじゃない。

 私は、三ヶ月後の雅哉さんとの新しい生活を叶えるために――。


「やめないよ。できることなら、今夜にでも俺に惚れさせようって思ってるんだから」

 私の腰元を引き寄せ、彼は惑わせるような笑みを口元に浮かべ、私の瞳の奥を見つめてくる。
 反抗的な視線ではるか頭上にある永井さんを見上げると、彼は一層私を引き寄せた。


「私は彼と結婚するんだから邪魔しないでって、そう言いたいんだろ?」
「分かってるなら、こんなことしないでください」

 勢いよく身体を反転させ、シンクと向かい合って元の立ち位置に戻った。


「ねぇ」
「……なんですか」

 ぶっきらぼうに答えるけれど、なにも言わない永井さんに振り返る。


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