溺愛CEOといきなり新婚生活!?
「見つめても、何も言わないよ」
「ケチ」
ギロリと鋭い視線を向けられて、私は息をのんだ。
勢いに乗せられて、私らしくなく棘のある物言いをしてしまっていたと気付く。
「ん!!」
突然、傍らにあった浅漬けのきゅうりを口に押しこまれて、息が詰まる。
「……今、なんて言った?」
フランクに話してくれているけれど、昨日知り合ったばかりなのだ。
それに、永井さんは超有名企業の社長様……。
間違っても、ケチだなんて言ってはならなかった。
「言いたいことは言ってもいい。でも、口の利き方には気を付けて」
今度は一気に顔を近づけてきた彼が、鼻先数センチの距離で意地悪に微笑んで私を見つめている。
「俺の本気に火を点けたの、上遠野さんだからね? これ以上煽らないでくれる?」
何の了承もなく私の額にキスをひとつ落とした彼は、何食わぬ顔でダイニングテーブルに食器を並べ、食事の準備を進めた。