溺愛CEOといきなり新婚生活!?
六人掛けのダイニングテーブルに、向かい合って座った。
永井さんは作った料理に万遍なく箸をつけ、本当に美味しそうに食べている。
「……さっきから何? 俺の食べ方が変?」
私は小さく首を振って、違うと答えた。
「じゃあ何?」
「今日、帰ってくると思わなくて……その、彼女さんとは」
「別れたよ。きれいさっぱり」
永井さんは箸を置き、陶器のタンブラーに注いだビールを飲み、私にもう一度目を向けた。
「聞いて呆れると思うけど、手切れ金に二百万渡したら、コロッと態度変えられたよ」
「に……二百、万円」
変わったことじゃないと言うように、平然としている彼が信じられず見つめあってしまう。
「ホント、上遠野さんってかわいい女の子だね」
「そういうことを言うの」
「やめないよ」
再度箸を持った彼は私の言葉を遮ると、肉じゃがを小皿に取って大きな口で頬張った。