溺愛CEOといきなり新婚生活!?

 帰宅するまでの間、電車に揺られながら今一度考えなおす。

 あまりにも雅哉さんが困っている様子だったから承諾してしまったけれど、初対面の男性と三ヶ月も同棲することになる。
 他の誰かを頼ってくれたらいいものを、どうして付き合っている彼女に頼もうと思ったのだろう。

 もし、話が全く合わない人だったら?
 そもそも、生理的に受け付けないタイプだったら?

 下心しかないオオカミ男子だったら?

 ――雅哉さんは、私が他の異性と生活しても平気なの?


 気が咎め、断りの連絡を入れるために携帯をバッグから出してメッセージ画面を表示させる。


【ごめんなさい。やっぱり、サンプリングマリッジのお話はお断りしたいです。どうしても、雅哉さん以外の人と生活をするなんて、考えられないんです】

 私の本当の気持ちを指先で選んで送信したらすぐに既読がついた。


【無理を言って申し訳ないけど、もう先方に話してしまったから取り消しはできないと思うんだ。面倒なお願いで心苦しいけれど、これも俺のためだって思って、今回だけでものんでほしい】


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