溺愛CEOといきなり新婚生活!?
「永井さん、いらしてたんですね。お久しぶりです」
「いま丁度来たところです。小泉さんもあれからここに通われてるんですか?」
「ええ、教えていただいてからすっかりファンになってしまって」
通りかかった私たちの足を止めたのは、最愛の彼だった。
そして、戸の向こうにいるショートカットが似合う凛とした女性と目が合って、私は小さく会釈をした。
「はじめまして、小泉と申します」
そして、雅哉さんは私に向かってそう言い放った。
「上遠野と申します……」
なんとなく合わせるべきかと首をひねりつつ空気を読んで、不器用に挨拶を返す。
「彼女はATSさんで働いていらっしゃるんです。鳳凰堂さんも仲良くされていたかと」
「そうですか。つい先日、ATSさんの常務と食事に出たばかりですよ。……へぇ、さすが天下の永井社長ですね。こんなにかわいらしい女性を連れられるなんて、本当に羨ましい」
どうしてそんなことを言うの? 私は雅哉さんの彼女でしょ?
私を隠すのは……一緒にいる女性が、雅哉さんの好きな人だから?