溺愛CEOといきなり新婚生活!?
「ごめんね、待たせて」
二十分ほどすると、ネイビーのパイピングが効いた白いTシャツ姿の永井さんが、ブランデーを注いだロックグラス片手にやってきた。
「アプリなら、使い方わかりました。メッセージ機能は便利ですね。何かあったらこれで連絡入れさせていただきます」
「うん、そうして。他愛ないことでもいいから、俺はいつでも大歓迎」
「お仕事忙しくされてるじゃないですか」
「そうだけど。好きな子とやり取りするのは、モチベーションが上がるものだし」
またそういうことを……と、私が彼を見つめると、いたずらっ子のような笑顔を返され、思わずドキッとしてしまった私は抱えていたクッションに顔を少し埋めた。
「なーんて、俺がこんなこと言っても、二年のつき合いがある小泉先輩には敵わなそうだけどなぁ」
「あの……今日、彼と一緒にいた女性を、永井さんはご存じですか?」
雅哉さんと一緒にいたあの人は、いったい誰だったんだろう。
私を見ても少しも表情を崩さず、にこやかにしていた。雅哉さんの隣にずっと前からいるような……そんな雰囲気をふたりの間に見たような気がしたのだ。
彼は、私に連絡のひとつもよこさず、今頃あの綺麗な人と一緒に過ごしているのだろうか。
時間を考えたら、一夜を共にしていても……。