溺愛CEOといきなり新婚生活!?
優しくされると、涙が止められなくなる。
抱きしめてほしいのは雅哉さんなのに……。
会いたいのに、連絡すらくれない。
許せなくてもいいから、言い訳ばかりでもいいから話したいのに。
二年も一緒に過ごしてきた彼なら、私が今どれほど悲しんでいて不安な気持ちになっているか、分かっているはずなのに。
こんな生活を始めたのも雅哉さんが両手を合わせてきたからだ。だけど、出会ったばかりの永井さんと食事に出ている私を見て、彼はどう思ったのだろう。
「今日のこと、何も疾しく思うことはないんだよ。上遠野さんを俺が奪おうとしてるだけ」
「でも」
「あなたの気持ちに変化がないなら、後ろめたさなんてないはずだけど」
「…………」
言葉に詰まり、自分の心模様を俯瞰する。
もちろん、永井さんに恋愛感情を抱いている自覚はないけれど、雅哉さんのせいでほんの少し心に隙間ができてしまっていることに気づいてしまった。