溺愛CEOといきなり新婚生活!?

 そもそも、私との関係を公にしてはいけないなんて窮屈だ。
 付き合い始めた時にその理由を聞いたら、鳳凰堂の専務ともなるとあまり私生活を公にしないものだと言われて、妙に納得してしまった。平凡な私には分からない役職者の生活には、そういう縛りもあるのだろうと思ってしまったのだ。

 だけど、今思えばどうもおかしい。
 一緒に生活をしている永井さんは大企業のCEOなのに、元カノと別れてくると初対面で話したり、行きつけの店に連れて行ってくれたりした。
 たった三日しか、一緒に過ごしていなかったのに。


【雅哉さん、今週中に会えませんか。どうしても話したいことがあるんです】
【お疲れさま。花澄は仕事終わったの?】
【終わって、いま帰宅したところです。それで、いつ会えますか?】

 急かすようなメッセージを送ってしまうのは、彼がはぐらかしているように感じたからだ。
 前までは……少なくともサンプリングマリッジを始めるまでは、不在着信を残したらかけ直してくれていたのに、今はそんな気遣いも感じられない。


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