溺愛CEOといきなり新婚生活!?
使い慣れないカードキーでオートロックを解錠して、マンションの中へ。
そこにはまるで高級ホテルのような空間が広がっていて、なぜか壁伝いに水が流れ落ちる滝まである。平凡なOLの私には縁遠く、既に気が引けてきた。
「お待たせしました」
吹き抜けになったエントランスロビーに、よく通る声が響く。
呼ばれて振り返ると、さっきの男性がやってきていて、ロビーに備え付けられたソファー席に彼が向かったので、私も足を向けた。
「はじめまして。永井海都と申します。どうぞよろしくお願いいたします」
「上遠野花澄です。こちらこそよろしくお願いいたします」
丁寧にお辞儀を返され、私も同じように返す。
どうぞ、と促されて腰を下ろしたソファーでさえ、ふかふかで身体馴染みがいい。なんなら自宅のベッドよりもいいのではないかと思えるほどだ。
落ち着かない私とは違って、このマンションに馴染んでいる永井さんはゆったりとソファに座って脚を組んだ。
本当に、この端正な顔の持ち主がサンプリングマリッジの相手なの!?
一瞬でも格好いいと思ってしまった自分を戒めつつ、向かい側に座っている永井さんを見た。