寵姫志願!? ワケあって腹黒皇子に買われたら、溺愛されました
「本当にバロック先生からのお話を断っちゃっていいのか? 先生のところなら、うちより何倍もいい暮らしができるぞ」
「いい暮らしができたって、あんな卑怯者の嫁になるなんてごめんだわ」
「卑怯者?」
いまいち誰のことだかわかっていない両親に、マイアがフォローを入れてくれた。
「あのね、カイネって大人たちにはいい顔するんだけど、昔から意地悪なところがあって……私もリディアの気持ちはわかるわ」
マイアの説明で、カイネの本性については両親も納得してくれたようだ。
「言われてみれば、たしかに調子がよすぎるところがあるかなぁ……」
「そういえば、カイネは一度縁談話が破談になったことがあったわねぇ」
「あぁ、そうだったな! バロック先生の息子ならと思っていたが、そういうことなら……」
「ありがとう! 父さん、母さん、わかってくれてうれしいわ」
最悪な道は回避することができたようだ。リディアはほっと安堵した。

「だけど、カイネ以外の縁談はなんでダメなんだ?」
「うん……あのね、父さん。私、結婚じゃなくてなにか仕事をしたいわ。勉強をうんとがんばって、バロック先生みたいな教師になるとかさ」
父親はルークとまったく同じような顔で苦笑した。
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