一夜の。


「社長。これで良ければどうぞ。」


私は笑いを堪えながら そのTシャツを社長に手渡した。


「え。有馬ちゃん。これ、イジメ?」


社長は 怪訝そうな顔をしながらTシャツを広げた。

私が渡したのは 青のTシャツ。

そこに大きく アイラブ沖縄❤︎の文字。

「以前お付き合いしてた人と
沖縄に行った時 お揃いで買ったものなんですけど

別れた後でも捨てるのは勿体ないから取っておいたんです。」


こういう時に使えて良かった。
社長はかなり高身長だし、着れるのはこれしかない。


「元カレの私物なら嫌!って言いたいとこだけど。」


??

社長は言葉を途切った。


「有馬ちゃんもお揃いのもの着てくれるなら履こうかな。

あるでしょ?お揃いで買ったなら。」


ニコッと微笑み、アゴでくいっとタンスの方を指した。








< 127 / 161 >

この作品をシェア

pagetop