一夜の。
「社長。これで良ければどうぞ。」
私は笑いを堪えながら そのTシャツを社長に手渡した。
「え。有馬ちゃん。これ、イジメ?」
社長は 怪訝そうな顔をしながらTシャツを広げた。
私が渡したのは 青のTシャツ。
そこに大きく アイラブ沖縄❤︎の文字。
「以前お付き合いしてた人と
沖縄に行った時 お揃いで買ったものなんですけど
別れた後でも捨てるのは勿体ないから取っておいたんです。」
こういう時に使えて良かった。
社長はかなり高身長だし、着れるのはこれしかない。
「元カレの私物なら嫌!って言いたいとこだけど。」
??
社長は言葉を途切った。
「有馬ちゃんもお揃いのもの着てくれるなら履こうかな。
あるでしょ?お揃いで買ったなら。」
ニコッと微笑み、アゴでくいっとタンスの方を指した。