一夜の。
「まだ1週間しか経ってないなんて。」
社長がいたくなれば 社長室はひどく静かで 寂しい。
その夜。私が乗り降りする電車の駅の近くに、見たことのある方。
「会長!」
それは社長のお父様であるお方で 私をこの会社の一員にしてくれた人。
私はもともと、この人に仕える予定だったが 倒れ 予定より早く今の社長が後を継いだ。
結果 今の社長の秘書として働くことになったのだが 会長は私の恩人だ。
「やぁ。有馬さん。久しぶりだね。
今日は少し話があってね、家まで送ろうか。
話は車の中でしよう。」
駅の階段の下に 高級車が一台と 運転手さんが待機していた。
「会社にいらしてくれれば よかったのに。」
「いや すぐに済む話だから。」