愛しかた
だけどそうじゃないって言うのは百も承知。

『優星ちゃん居られる?』っていうのは、『優星ちゃん居ないよね?出かけるよね?』と同義だ。

綺星ちゃんは私と京真さんをあまり会せようとしない。
女としての本能や勘が働いているのかなんなのか。

会ったとしても、すぐに距離を置こうとする。

けどそれは私にしたら好都合で。

「綺星ちゃん、本当ごめんね。日曜はちょっと用があるの」

こう断っても、深追いはされないから助かる。

「え、そうなの?」

ここでホッとするような仕草を見せる程、綺星ちゃんは馬鹿じゃない。心底残念そうな声と表情を私にくれる。

「ごめんね」
「ううん。急だったし、大丈夫よ」

それになにより

「あのさ、パパには・・・」

綺星ちゃんは私の逃げ道を簡単にそれも精巧に作ってくれる。

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