愛しかた
昔から比較対象はお互いで、だけど必ずと言って良いほど綺星ちゃんが秀でていた。

『流石はお姉ちゃんね』『お姉ちゃんと比べちゃうと、優星ちゃんはちょっとね」

何度聞いただろうかこんな言葉を。でもそれを嫌だと思ったことは無いと思う。

だって綺星ちゃんは努力していた。勉強もお稽古も誰よりも努力して常にトップにいた。

私はそんな綺星ちゃんを尊敬していたし、かっこいいって思っていた。
大人になっても、文句も言わずパパの仕事を手伝う姿を見れば、やっぱり凄いなって思う。

自慢のお姉ちゃんだ。

だから両親含め周りの大人は皆綺星ちゃんに目を向けて期待していた。そしてそれもまた、私にとったら姉自慢の要素となっていた。

そんな時、お兄ちゃんはいつも卑下される私を励まそうとしたのか

「期待されないって事は自由に出来るってことだぞ」

と、改めて思えば相当酷い言葉を私に送った。
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