愛しかた
もしかしてただ単にこの手の話が好きなだけなのかな、この人。

「・・・さっきも思ったんですけど、浅野さんて結構踏み込んで来るんですね」

そう言った私に浅野さんは大きく笑った。

「気に障ったなら謝るよ。ごめんね」
「いえ。気に障ったとかでは無くて、驚いただけです」
「なら良かった」
「浅野さんこそ、素敵な人いないんですか?」
「こんな若輩者には素敵な人なんて寄ってこないよ」

成る程。素敵では無い人なら寄ってくるってことね。
あんな可愛い笑顔見せたら女性はイチコロだと思うけど、笑顔だけで転がるような純真な人はこの人の周りにはいないのかもしれない。

届いたオムライスは浅野さんの言う通り美味しくて、素直に「これ美味しいです」と言った私にあの可愛い笑顔を向けてくれた。

それだけのことで悪い人では無さそうだと判断するにはちょっと単純すぎるだろうか。
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