愛しかた
食後はすぐに劇場へ向かって、本当に二人で鑑賞した。

これを知られたら厄介だなと思いながらも、乗り気では無かった割には楽しめたしまぁ良いかと、余計な事を思うのはやめた。

「案外面白いものだね」
「そうですね。こんなにも迫力あるものとは思いませんでした」
「優星、もう真っ直ぐ帰るの?」

我が家の食事会は終わっているんだろうか。
この時間ならまだ微妙かもしれない。

「このまま上へ行くつもりです。浅野さんどうされます?」

予め用意しておいた言葉を告げる。
けど嘘ってわけでも無い。時間を潰すには最適な場所だ。

「そう言えば、この上は展示場だったね」
「はい」

今帰宅して鉢合わせでもしたら全てが台無しになる。安全第一に考えれば、やっぱりまだ帰らないほうが良い。
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