愛しかた
「またね、優星」

綺麗なシルエットを崩さず背を向けた浅野さんに恨めしい視線を送ってから車に乗り込む。

「真っ直ぐ家へ?」
「そうして。ねぇ浅野さんの事よく知ってる?」
「貴女と同等の知識しかありません」

それが本当なら直接の知り合いってわけでも無いのか。

「・・・注意しといて」

やっぱり掴み所の無い人だ。ブラックリストに入れておかなくちゃ。

「かしこまりました」
「食事会は終わった?」
「そのようですね。30分程前に京真様は帰られましたし、奥様も旦那様もそれに合わせてお休みになられました」
「家に戻ったの?」
「入浴の準備をしに一旦戻りました」
「・・・ありがと」

本当はメイドの仕事だけど、私が自室に極力人を出入りさせたくないと言った時から部屋の殆どの事は咲人がしてくれるようになった。
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