愛しかた
さらにその横には浅野さんまでもがいる。

思わず浩典の手の甲をつねってみる。

「いった」

夢ではないのか。

「あら、ごめん。間違えちゃった」
「どこをどう間違えたら他人の甲をつねるんだよ」

呆れる浩典を無視し、三人の視界に入らないようそっと浩典の影に入る。

「ここって、庭から外に出れたわよね?」
「抜け出すのか?」
「言ったでしょ。関わりたくないって」

綺星ちゃんと京真さんの二人でも嫌なのに、京真さんと浅野さん二人と対峙するなんてまっぴらごめんだ。
今すぐ帰らねば。

「あ。」
「何!?」
「ごめん。出津さんと目が合った」
「・・・」
「噂以上にイケメンだな。てかすげぇ眼光飛ばされてる気がする」

つまり京真さんには見えているんだろう。浩典の影にいる私の姿が。
胃が痛くなってきた。

「なんか眩い三人がこっちにくるぞ」
「もう実況中継しなくていいって。しかも眩いとか・・・」

的確な表現ですね。
< 40 / 54 >

この作品をシェア

pagetop