愛しかた
「浩典君、このワイン美味しい」
「うん。いいね。京真には渋さが足りない?」
「そうだな。けど美味しいよ」

浩典の提案で人気が少ないテラスの端に五人で移動し、なぜかワインの試飲会が始まった。

「・・・」
「なら出津さんには少し渋めのなにかを見繕って来ますよ」

浩典まさか私を置いて行く気!?
こんな状況で私を置き去りにするつもりなの!?

「いいの?」
「勿論ですよ」

良くない、良くない。
そんなの給仕に任せればいいじゃない。

という本音が言えないまま、浩典の背を見送る。

「なんだか親密そうだったね、優星」
「え?」
「彼と」

面倒臭いな。なんて答えようか。

「あら浅野さん。彼氏みたいな台詞」
「そうだね。なんだか妬けちゃったよ」

嘘でしょ、この人。

「俺も優星ともっと親密になりたいな」

今度は頭が痛くなってきた。

「え!?もしかして、二人って・・・」

綺星ちゃんの驚いた声に浅野さんは綺麗な笑顔を向ける。

やめて、やめて。浅野さん、本当にやめて。

「一度デートしただけの仲だよ」




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