愛しかた
「そうなの?京真さん、知ってた?」
「いや、全く。黙ってるなんて、お前も人が悪いね」

京真さんの言葉に浅野さんが愉し気に笑う。

「まぁいいだろ」

怖くて綺星ちゃんと目が合わせられない。

それよりも、焦りからか怒りからなのか、身体が芯から震える。

わかってる。
浅野さんに悪気が無いことなんて。

「綺星、呼ばれてるんじゃないか?」

京真さんの声に顔を上げると、ママが遠くから呼んでいて、

「え?あぁママね。ちょっと行ってくる」

それに気づいたらしい綺星ちゃんが席を立った。

「俊平、なんか食い物持って来てくれよ」
「俺が!?黙ってた罰だ」
「はいはい。仰せのままに。優星、欲しいものある?」
「う、ううん、なんでも」

わかったと浅野さんも続いて席を立ち、浅野さんが完全に中へ入ったのを見届けてから京真さんが口を開いた。

「どうした?」
「・・・何がですか」
「惚けるなら別にいいけど」


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