愛しかた
⑤
卒業式が近づく度に浮足立つと思っていたのに、やることの多さに目が回りそうになった。
あのパーティの日から京真さんからも浅野さんからもなんの音沙汰も無く、なさ過ぎて逆に心配になってしまったけれど、酷く暴れることは無いと彼から連絡を受け安堵した。
誰に何を伝えるわけでも無いまま卒業旅行と称して一週間程家を空けた。心配していたその旅行の間も、特になんの問題も無く過ごしているようで、このまま全てがうまくいけばいいと甘い考えをしていた。
本当に甘い考えだった。
その知らせを受けたのは、卒業旅行から戻り、空港を出てしばらくしてからだった。
「何かあった?」
『彩人が病院に運ばれた。命に別状は無いらしいけど、---』
電話を切った後、何故だか怖いぐらいに落ち着いていて。
どこか晴れ晴れともしていた。
タクシーの運転手に行き先の変更を伝えると、ほんの少しだけで怪訝な表情をされた。
お前みたいな娘が何しに行くんだとでも言いたいのだろう。
もうお釣りは一円たりとも上げないと思いながら、到着までの間、友人数人に連絡を入れる。
あのパーティの日から京真さんからも浅野さんからもなんの音沙汰も無く、なさ過ぎて逆に心配になってしまったけれど、酷く暴れることは無いと彼から連絡を受け安堵した。
誰に何を伝えるわけでも無いまま卒業旅行と称して一週間程家を空けた。心配していたその旅行の間も、特になんの問題も無く過ごしているようで、このまま全てがうまくいけばいいと甘い考えをしていた。
本当に甘い考えだった。
その知らせを受けたのは、卒業旅行から戻り、空港を出てしばらくしてからだった。
「何かあった?」
『彩人が病院に運ばれた。命に別状は無いらしいけど、---』
電話を切った後、何故だか怖いぐらいに落ち着いていて。
どこか晴れ晴れともしていた。
タクシーの運転手に行き先の変更を伝えると、ほんの少しだけで怪訝な表情をされた。
お前みたいな娘が何しに行くんだとでも言いたいのだろう。
もうお釣りは一円たりとも上げないと思いながら、到着までの間、友人数人に連絡を入れる。