愛しかた
「敢えて口にはしません。証拠があります」

私の言葉にパパの目は見開かれ、お祖父ちゃんの目が少し鋭くなった。

「写真とテープレコーダーがあります」

本当はビデオもある。
けどいくらなんでもあれは、持ち出したくない。

「数年分あります。お願いです。これまで黙認してきたと同様に、これからすることにも黙認して下さい。これきりでいいから、お願いします」

身体が震える。

「話しなさい。何をしようとしているのか」

それを言ったのはお祖父ちゃんだった。

「・・・彩人と結婚するつもりです」
「お前っ!」

パパが血相変えて立ち上がる。

「本気か、優星」

お祖父ちゃんの言葉に頷く。

「卒業したら家を出ます」
「お前みたいなのが外に出てやっていけるほど甘くない!」
「家を出てどうする」

興奮するパパとは逆にお祖父ちゃんはいたって冷静で。
お祖父ちゃんがいたことは予想外だったけど、いてくれて助かった。

「フランスへ移住するつもりです。向こうで働く所と住むところを決めて来ました」
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