雪にまぎれて消えてしまいたいと、そう思っていたのに。私の名前を呼ぶ声が、不器用に紡がれるその想いが、凍えたこころに触れたから。
「きみの……こころが、欲しくて」
どうやら私の心臓は、このひとに食べられてしまったらしい。
たとえば死んでしまいたいと願っても止まってはくれないくせに、恋に落ちると素直すぎるくらいに鼓動を速くしちゃうものだから、つくづくこころと心臓ってふしぎな関係だなあと思います。
彼女を眠りから覚ますように、たったひとつだけつけられた心臓の赤いしるし。白雪姫もこんなふうに心臓を食べられるなら幸せだろうと、二人のはじまりの朝に微笑ましくもあたたかな気持ちになりました。
何より課長がかわいすぎます……あなたの銀縁メガネになりたい (?)
短いページの中に切なさと愛おしさがぎゅっと詰まっている素敵なお話です。
是非ご一読ください。