【完】触れたいのはキミの鼓動
キミはきっと知らない side:小桜
それは、いつのことだったか。
『なぁんだ。すっちーも好きなの?』
『うん。好きだよ。可愛いよね』
放課後の教室に忘れた数学のプリントを取りに行った時だったと思う。
まさしくベタな展開過ぎて笑えるんだけど。
そこで、偶々聞いてしまった会話。
教室には、男子グループの2、3人が残っていて…窓側に向かって座り込みながら好きな子の事らしい話をしてたんだ。
須賀は、…凄い、見た事もないようなくらいのエンジェルスマイルをして、窓の外を見ながらそう会話に交じってた。
なんとも言えない気持ちになって、こっそりとその場を後にした私は、校庭で活動している部活の中で須賀が好きになりそうな子を一生懸命考えていた。
誰なの?
そんなの今まで知らなかった。
話題にもならなかったし、いつだって特別を作らず取り巻きに囲まれてたじゃない。