【完】触れたいのはキミの鼓動
でも、その翌日に。
「須賀くん…ちょっといい?」
「うん。どうしたの?」
なんて、あいつを呼び出したのは、テニス部のマネをしてる3組の吉田さんだった。
彼女は、校内のマドンナ的な存在で、男子からは最早崇拝されていて、信者もいると聞いてる。
そんな彼女をにこにこと微笑みながら、さり気なくエスコートして教室を出て行く二人を見て、私は。
「あぁ…そういう事か」
と、思い切り納得してしまった。
それなのに、隣で一緒になった頃からずーっと変わらずこいつときたら私を事あるごとに「好き」だの「可愛い」だのとのたまいやがって!
「…なに?」
「なんでもない!」
ギャーギャー散々拒んだのに、結局二人で帰る羽目になってしまい、私は精一杯の距離を空けて、なるべく傍に寄らないようにする。
だって、二人きりだなんて心臓が保たないし、大体他の人に…吉田さんに、誤解されたくなかったから。